現在、てんかん診断や治療のために受診された患者様にアンケートをお願いしております。ご協力いただき心より感謝申し上げます。今後、皆様より頂きましたご質問に対し可能な範囲で回答させていただきたいと考えております。どうぞ宜しくお願いいたします。

Question 4
体重の管理が大変です。

 

<Answer>

あらゆる薬に副作用があるように、抗てんかん薬にもさまざまな副作用がありますが、体重に関する副作用については、出る可能性のあるものと、そうでないものがあります。

 ・体重増加しやすい抗てんかん薬・・・バルプロ酸(商品名デパケン)、ガバペンチン(ガバペン)、カルバマゼピン(テグレトール)

 ・体重減少しやすい抗てんかん薬・・・トピラマート(トピナ)、ゾニサミド(エクセグラン)

あくまでてんかんなど適応のある疾患に対して薬として使用した場合の副作用であり、太るための薬や痩せるための薬として使用することはできません。)

抗てんかん薬の副作用には、体質による影響が大きいもの、用量が増えるほど出現しやすいもの、長期的に内服していると出現しやすいものがあります。体重増加は、この中でも長期的に内服していると出現しやすいものに当てはまります。

特にバルプロ酸に関してはてんかん以外の疾患(双極性障害など)でも処方されることが多く、患者さんとしてもなぜ体重が増えるのか知りたいところだと思いますが、バルプロ酸でなぜ体重が増えるのか、今の時点でははっきりとはわかっていません。(食欲亢進を生じる、インスリンという糖の代謝を調節するホルモンの不具合を生じるなどの諸説が報告されています。)

生活習慣に気を付けていても、どうしても体重増加が気になる場合、今内服されている抗てんかん薬を見直すこともひとつですが、抗てんかん薬の選択には、てんかんの発作型や発作の現状はもちろん、合併症や体質、生活状況などについても考える必要があるため、人によって異なり絶対的な正解というものはありません。

これまでの治療による発作の落ち着きの度合いや副作用歴などによっては、副作用は出ていても現在の内服薬を続けるほうがメリットが大きい場合もあります。

大事なことは、副作用があっても自己判断で中止せず、医師に相談することです。

 

参考文献
てんかん診療ガイドライン2018(日本神経学会)
てんかん専門医ガイドブック(日本てんかん学会 診断と治療社)
代謝異常を合併したてんかん患者に対する治療(村田佳子, 渡邉雅子 臨床精神薬理 2018

 

てんかんの相談は当院へ

衣ヶ原病院では、てんかん専門外来(予約制)を設けております。詳細な病歴聴取を行った上での治療を心がけております。脳波検査とCT検査も院内で行うことができます。

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