Case 1  初診時20代 男性

家族とは疎遠であり1人暮らし。

高校卒業後、家を出てA県にて生活していた。
X-7年に初回のてんかん発作を認め受診開始。

X-5年に仕事の関係でB県に移るも、作業が合わず数ヶ月で退職した。

以降受診も途絶え、失禁や咬舌を伴う発作のため複数回救急搬送された。
その後、生活保護を受給することとなり、知人を頼りに愛知県に転居された。
X年に当院初診となるが、発作の回数が増えたり、精神的な不調があるときは知人とともに受診されていた。

吐き気の前兆の後に意識が消失する発作が数ヶ月毎に出現しており、過去には全身がけいれんする発作もあったようである。
ラコサミド(ビムパット)200mgとレベチラセタム(イーケプラ)1000mg内服していたが頻度は変わらず、ラコサミドを400mgまで増量したところ意識が消失する発作の報告はなくなった。

しかしX1年、知人より病院に「本人1人でいるのが不安なのか、色々な身体症状を訴え頻回に呼び出される。
救急受診するが異常なく、どうしていいか困っている」と連絡あり。本人と相談の上、訪問看護を導入することとし日常のサポートを開始したところ救急受診をすることはなくなり、現在は精神保健福祉士と相談の上、B型作業所に通う生活となっている。

最近は知人とともに受診することはなく、てんかん発作の報告も1年ほどない。

(ブログの公開については本人より承諾を得た。症例の特定を避けるために論旨に影響のない範囲で改変を施してある。)

 

訪問看護より

訪問看護の導入当初は、てんかん発作の再発や持病との付き合い方の他、就労されていないことに対する不安も訴えられていました。

悩みやトラブルがあった際には電話での相談体制をとれるようにするなどの支援を行い、ご本人様との信頼関係の構築を図りました。
訪問看護導入からは救急受診は1度もなく、またてんかん発作も起きずに在宅生活が送れています。

作業所にも意欲的に通えておりQOLは向上してきていると考えています。(文責:木村優作)

てんかん発作が止まれば不安がなくなる患者様もおられる一方でむしろ不安が増えてしまう方もおられます。

これは発作を止めるという目標が達成され、今まで気づかなかった他の問題につきあたるためかもしれません。

 

てんかんの相談は当院へ

衣ヶ原病院では、てんかん専門外来(予約制)を設けております。詳細な病歴聴取を行った上での治療を心がけております。脳波検査とCT検査も院内で行うことができます。

当院ではてんかん発作そのものでお困りの方以外でも、相談をお受けしております。

不安な点がございましたらまずはお気軽にご相談ください。

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