2022.02.10 うつ病

「抗うつ薬」をご存じでしょうか?
うつ病患者さんの抑うつ状態や意欲の改善するために使用するのが、「抗うつ薬」です。
抗うつ薬は、うつ病の原因と考えられている
セロトニン・ノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質の働きを増強し
乱れたバランスを整える作用があります。
「抗うつ薬」といっても様々な種類が存在します。
今回はそんな「抗うつ薬」に焦点を当てて
どのような薬があり、どのような効果があるのかをご紹介させていただきます。

一言に「抗うつ薬」といっても様々な種類が存在しますが、
現在、日本で使用されている抗うつ薬には以下のようなものがあります。
・「三環系抗うつ薬」
・「四環系抗うつ薬」
・「SSRI」
・「SNRI」
・「NaSSA」
※注釈
「SSRI」・・パキシル、レクサプロ、デプロメール、トリンテリックスなど
「SNRI」・・サインバルタ、トレドミン
「NaSSA」・・リフレックスなど

「SSRI」と「SNRI」は、
近年うつ病治療の第一選択薬とされております。
効果発現には、2週間の飲み続ける必要があり、
特徴的な副作用に吐き気があります。
「SSRI」はうつ病だけでなく、
強迫性障害や社交不安障害、パニック障害など多岐に使用されます。
「SNRI」はどちらかというと
意欲の低下が著しい方には第一選択薬として使用されます。
また、「SNRI」のサインバルタは、痛みにも効果があり、腰痛症などにも適応があります。
うつ病でしかも痛みを訴えるような人には第一選択薬として使用されています。

「NaSSA」(商品名リフレックス)は、
眠気があるため就寝前に投薬されることが多く、
睡眠障害もあるうつ病患者さんに使用されることが多いです。
「SSRI」よりもノルアドレナリンの作用もあるため
意欲改善にも効果が期待できます。
三環系や四環系の抗うつ薬は、副作用の観点から、
第一選択薬になることは少ないですが、
特に三環系のアモキサンは、SSRIなどで効果不十分な場合に、
使用されることが少なくないです。
四環系の抗うつ薬(トラゾドンなど)は、
抗うつ薬としてより睡眠改善作用を期待して睡眠薬として使用されることが多いです。

上述した抗うつ薬のほかに、「ドグマチール」もよくつかわれます。
ドグマチールは、ドーパミンに作用してドーパミンの量を増やします。
それにより意欲改善効果が期待されます。

このように、抗うつ薬といっても多くの種類があります。
患者様の症状を医師が確認し、
それに合う薬を飲むことが必要です。
決して自己判断で、増量したり中止することはやめましょう。
思わぬ副作用や、症状の悪化が懸念されます。
また、お薬に疑問や心配があったら迷わず主治医に聞いてみてください。
信頼できる医師に相談しながら投薬治療を続けることが大切です。
衣ヶ原病院・みよしメンタルクリニックでは、
精神科専門医資格を持つ医師が多数勤務しております。
お困りの症状があれば、お気軽にご相談ください。
。
副理事長 加藤 豊文
精神科医
精神保健指定医
認定産業医、精神科専門医・指導医(日本専門医機構)
認知症診療医(日本精神神経学会)
認知症臨床専門医(日本精神科医学会)
認知症サポート医
老年精神医学会認定医
臨床研修指導医
児童思春期精神医学対策講習会スタンダードコース終了(日本精神科病院協会)
児童思春期精神医学対策講習会アドバンスコースⅠ終了(日本精神科病院協会)
産業保健アドバイザー
名古屋平成看護医療専門学校 看護学科 非常勤講師
| 専門分野等 | 精神医学一般、うつ病リワーク、認知症 |
|---|---|
| 所属学会 | 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本老年精神医学会、日本アロマセラピー学会 MCT-J(メタ認知)ネットワーク会員など |
More Information
Publications
当院理事長 加藤鈴幸医師と副理事長 加藤豊文医師の著書が出版されました。
全国の書店またはAmazon等のオンライン書店でご購入いただけます。