2022.10.9 お役立ち情報

てんかんに合併する精神症状について

てんかん患者様が困っていること

てんかんは100人に1人とありふれた脳の病気です。
患者様へのアンケート調査(1)によれば、
てんかん患者様は発作のみならず、
抗てんかん薬の副作用や雇用、運転、偏見のほか、
精神科的合併症で困っておられ、
一方てんかんを診察する医師へのアンケート(2)では、
発作難治例の治療に次いで
精神症状の診断と治療に困っているとの結果が示されています。

1) 西田拓司, 精神神経学雑誌: 114(8), 957-959, 2012

2) 井上有史, 治療: Vol.94, No.10, 1697-1702, 2012

 

 

てんかんに合併する精神症状

てんかんに合併する精神症状は、
精神病状態、抑うつ状態、
不安障害、心因性発作、性格変化など
多岐にわたり、
発作との時間的関連や抗てんかん薬の副作用の可能性を考慮の上、
対応を考えることになります。

 

例えば精神病状態に含まれる発作後精神病は、
発作群発後に気分高揚を背景とし、
「自分は神の生まれ変わりだ」といったような妄想が出現する病態ですが、
急性期であれば向精神薬により症状の軽減を目指します。

また、急性期が過ぎれば発作群発予防を目的とし
抗てんかん薬を増強することを考えます。
(長きにわたり発作コントロールが困難な患者様に出現しうる症状のため簡単ではありませんが・・・)

また、いくつかの抗てんかん薬では
一部の患者様で抑うつ症状を惹起することが報告されており、
経過より薬剤の関与が疑われる場合には変薬を試みることもあります。

 

 

てんかんに伴う精神症状のお悩みは早めのご相談を

衣ヶ原病院では、てんかん専門外来(予約制)を設けております。
詳細な病歴聴取を行った上での治療を心がけております。
脳波検査とCT検査も院内で行うことができます。

てんかんに伴う精神症状以外の方でもてんかん発作でお困りの方、
抗てんかん薬の副作用のため生活に支障がある方など、
当院ではてんかんに関する相談をお受けしております。
不安な点がございましたらまずはお気軽にご相談ください。

 

>てんかん専門外来はこちら

この記事を書いた人

院長 大島 智弘

愛知医科大学医学部卒業。
愛知医科大学医学部精神科学教室入局。
兼本浩祐教授に師事し臨床てんかん学を学ぶ。
平成21年より愛知医科大学精神科講師、
平成26年より愛知医科大学精神科准教授。
令和4年4月衣ヶ原病院院長就任。

<資格等>
医学博士
精神保健指定医
精神科専門医(日本専門医機構)・指導医
てんかん学会専門医・指導医(日本てんかん学会)
臨床研修指導医

専門分野等精神医学一般、臨床てんかん学
所属学会日本精神神経学会、日本てんかん学会など
看護師急募

そののご案内

More Information

出版籍のご案内

Publications

再発ゼロへ 完全社会復帰を実現する
「こころの病」の治し方

当院理事長 加藤鈴幸医師と副理事長 加藤豊文医師の著書が出版されました。
全国の書店またはAmazon等のオンライン書店でご購入いただけます。

ご購入はこちら