2022.12.15 お役立ち情報

自閉症スペクトラム障害におけるてんかんについて

自閉症スペクトラム障害とは

自閉症スペクトラム障害は、対人関係が苦手であったり(1人遊びが多い・共感的でないなど)、
強いこだわり(特定の物事に対する非常に強い興味・臨機応変な対応ができないなど)を持つ発達障害の1つで、
これまでは自閉症やアスペルガー症候群などと呼ばれていました。
併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や抑うつが挙げられますが、てんかんも合併しやすいことが知られています。

 

自閉症スペクトラム障害におけるてんかん

ダウン症候群や脳性麻痺等の自閉症スペクトラム障害発症にかかわる神経疾患が特定されないいわゆる特発性の場合、
てんかん発症は20%前後と言われていますが、知的発達の程度が重度の場合にはてんかんの発症はより高率となります。

また、自閉症スペクトラム障害におけるてんかん発症のピークは乳児期と思春期とされますが、
特発性自閉症スペクトラム障害の場合、思春期発症が多いです。

あらゆるタイプの発作を認めますが、焦点発作※1が多く、
知的障害を伴う特発性自閉症スペクトラム障害の場合、
大部分は焦点起始両側強直間代発作※2であるとの報告があります。
これらの場合、治療は焦点性てんかんの治療※3に準じ行います。


※1 脳の一部分を起始とする発作

※2 旧分類でいう大発作のこと
※3 ラコサミド(商品名はビムパット)、カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)、レベチラセタム(イーケプラ)など

 

上記の通り、特発性自閉症スペクトラム障害におけるてんかんは思春期発症の場合が多く
小児科にて治療が開始される場合が少なくありませんが、
成長に伴い抱える問題も変化するため成人科への移行が望ましいことがあります。

 

てんかんに関するお悩みは専門機関へご相談を

衣ヶ原病院では、てんかん専門外来(予約制)を設けております。
ゆったりとした環境において、
詳細な病歴聴取を行った上での治療を心がけております。
脳波検査とCT検査も院内で行うことができます。
不安な点がございましたらまずはお気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

院長 大島 智弘

愛知医科大学医学部卒業。
愛知医科大学医学部精神科学教室入局。
兼本浩祐教授に師事し臨床てんかん学を学ぶ。
平成21年より愛知医科大学精神科講師、
平成26年より愛知医科大学精神科准教授。
令和4年4月衣ヶ原病院院長就任。

<資格等>
医学博士
精神保健指定医
精神科専門医(日本専門医機構)・指導医
てんかん学会専門医・指導医(日本てんかん学会)
臨床研修指導医

専門分野等精神医学一般、臨床てんかん学
所属学会日本精神神経学会、日本てんかん学会など
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